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2008年2月17日 (日)

ピアニスト 長富 彩

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こんばんは。新人ピアニストの紹介です。長富彩(ながとみ あや)さんですが、運命的ともいえる衝撃のエピソードの持ち主です。彼女は2005年東京音楽大学付属高校を卒業するのですが、その年の5月アメリカ旅行でラフマニノフのお墓参りを致します。彼女は高校卒業試験にラフマニノフの「ソナタ第2番」を演奏するくらいラフマニノフ好き。お墓のラフマニノフにむかって、今度くるときは「あなたの曲を演奏したCDを持ってこられるようがんばります」と約束致しました。事件はその帰り道に起こります。高速道路で、脇見運転の暴走車に追突され、5回も車がスピンし、その度にガードレールに衝突したそうです。

ところが、彩さんが乗っていた車は大破したにも拘わらず、同乗者全員無傷だったのです。ここで、彼女は神の啓示を聞いたようです。すべて紹介してしまうと、購入の楽しみがなくなりますから、この辺にしておきます。

奇跡の生還を果たした彩さんが、ラフマニノフにそれまで以上に没頭するようになったのは、想像に難くありません。

曲目を紹介します。

■モーツァルト キラキラ星変奏曲 K265
■ラヴェル   水の戯れ
■リスト    ラ・カンパネラ
■リスト    メフィストワルツ第1番
■ヒナステラ  3つのアルゼンチン舞曲
■ラフマニノフ ヴォカリーズ 作品34−14(ワイルド編)
■ラフマニノフ ピアノソナタ第2番変ロ短調 作品36(1931年版)

DVDの内容
■リスト    ラ・カンパネラ
■ラフマニノフ ピアノソナタ第2番変ロ短調 作品36(1931年版)第1楽章のみ

CDは昨年の9月に発売になっていたのですが、ジャケットがあまりに「可愛い」ので、逆に敬遠しておりました。ライブ録音で、リサイタルは2007年2月28日 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールでおこなわれました。

演奏のコメントをする前に、まず録音ですが、ライブの鮮度がよく、本当に生々しい。会場で聴く音ではなく、ピアニストが聴いている音録りです。数々の録音のよいピアノを聴いてきましたが、その中でも格別の1枚です。

変に速く弾かないモーツァルトですが、はつらつたる演奏で変奏曲は鮮やかな技巧で処理します。水の戯れは優れた技巧で音色の使い分けも見事です。が、同じキラキラと輝く音色でももっと軽めの音質が欲しかったです。リストのラ・カンパネラは落ち着いテンポで、細かい音が一音もこぼれることなくキラキラ輝くクリスタルの連珠のようです。メフィストワルツは、森の情景も鮮やかに浮かびあがらせ、一種狂った踊りを再現してみせます。ヒナステラは、速い両端の曲により原始的な土の香りがしました。ヴォカリーズは19世紀的名人芸を聴かせる編曲ですが、おおらかに歌っておりました。さてソナタ第2番ですが、「ホロヴィッツ以来の感動」といえば大げさ、それとも月並みでしょうか。女性ピアニストでは、エレーヌ・グリモーの演奏が好きですが、彩さんの演奏は、幼い時から「子守歌代わり」に聴いていたのでは?と思わせるぐらい、体の内に入っているように聞こえます。狂おしいまでの和音連打、旋律の大きなうねり、引き込まれるようなあざやかなスケール(音階)。演奏の完成度では彩さんを上回るピアニストはたくさんいるかもしれません。しかし、曲と演奏者の一体感という点において、ホロヴィッツの演奏に匹敵すると私は思いました。

最後に老婆心ながら苦言を呈しておきます。モーツァルトで特に感じたのですが、フレーズの響きをほとんどつなげてしまい、歌手、あるいは管楽器奏者のようなブレスがありません。休符が書いてなくても、呼吸によるごく瞬間的な切れ目が彼女の演奏にありません。ペダルでつなげてしまうのです。モーツァルト、リストで特にそれを感じました。もしお聴きになられましたら、どのように感じられるかご意見を頂戴したいと思います。

尚このCDにはDVDがついており、これで3000円は超お買い得です。レーベルはT−TOC(ティートック)です。私はこのレーベルは初めてですが、素晴らしい録音でした。

追記
ビデオファイルの保存の時間を利用して、D−55でラフマニノフのソナタ第2番を聴きました。冒頭から大きなハンマーで打ちのめされたような衝撃を受けました。LS−350でも録音のすばらしさは十分わかりましたが、まったく次元が異なる録音です。この録音はマスターから焼いたCD−R盤も発売されていますので、こちらの方は一体どれだけ凄いのか想像がつきません。(2008年2月20日calaf)

追記2
彩さんのこのライブ録音ですが、市販のCDの他にマスター盤から直接CD−Rに焼いた盤が発売されています。少し高価ですが、発注しています。試聴の結果は2,3日後に報告できると思います。ただでさえものすごい録音が一体どうなるのやら、大きな期待を抱いています。(2008年2月21日calaf)

彩さんからコメントを頂きました。彩さんはプレリュードという掲示板を運営されていますが、そこからの転載です。

calaf様、お返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
聴いて下さったんですね。有難うございます☆私には余りあるお言葉に感激し、とても嬉しく思いました。

ラフマニノフのソナタをはじめとして。当時の演奏は、まだまだいっぱいいっぱいで、その後反省点を研究し、勉強を続けている最中ですが、あのレコーディングで未熟なりにもひとつだけ心に誓ってステージに向かった事があります。

それは、曲と私と作曲家の心がひとつになれた、と確信するまで、絶対に音を鳴らさない、ということでした。
演奏自体は今聴いてみても、課題満載でとても未熟で恥ずかしい気持ちなのですが、あの時ステージでは心を静かにその瞬間を待って、心で音楽を奏でる事だけは実現することができたと思っています。
だからこそ、calafさんの感想をとても素直に嬉しく受け止めさせていただきました。

ラフマニノフについては、今年の初めにもニューヨークでとても不思議な出来事があり、その後シカゴの演奏会でラフマの「楽興の時」を弾きましたが、自分が演奏しているのではなくて、何か見えない力で弾かされているような不思議な経験をしました。
そして、昨日もまた、コンサートでラフマニノフさんを演奏してきました。
ずっと大切に、もっともっと勉強していきたいと思っていますので、いつかまた、成長した私のラフマニノフの演奏を聴いてください!

追記3
長富彩さんの掲示板に国内デビューリサイタルCDのマスター盤の感想を書きましたら、お返事を頂きました。

calaf様、こんにちは。
マスターCDも聴いて下さったんですね。感激です、ありがとうございます!
エンジニアさんでもある社長は本当に録音に素晴らしいこだわりをもっておられます。

オーディオに詳しい方のお話は本当に参考になります。今度オーディオを購入する時はぜひアドバイスをお願いします!

ラフマニノフの冒頭の音は、かなり研究しました。体が小さいので、その中でいかに無理なく理想の音を出すかをいろいろ考えました。大好きな曲だからこそ、これからもっと全体的に研究しなければいけません。

ラフマニノフが編曲したチャイコフスキーの子守歌。チャイコフスキーはブログ(HPのNEWSの記事です。)にも書かせて頂きましたが、小さい頃から大好きな作曲家なので、ぜひ演奏したいと思います!
じゃあ関西で演奏できそうなときは、この曲をプレゼントさせてください♪
兵庫県にお住まいなんですね!ここに来てくださるお友達は関西の方が多いです。私の叔母も兵庫県在住です!

何とチャイコフスキー/ラフマニノフの「子守歌」を関西に来たときに演奏して頂けることになりました。(2008年3月18日)

追記(4)
4月初旬に長富 彩さんの掲示板での私の質問に回答頂きました。長富さんの回答を掲載致します。

calafさん、こんばんは!
私の音出し時間が7時半までなので、それから夕飯を作りながら返信をしていました☆ちょうど日本の10時頃ですね^^*

youtubeは今は納得済みですが、実は私が出したものじゃないんです。
私もupされてるのを見て最初驚いて、すぐ抗議しました笑。
10代の時の演奏で、カンパネラはアンコールで勢いで弾いてるし、革命は2週間で仕上げたものであれを世界中に配信されては。。。と焦った思い出があります。

入り込む演奏と言って頂けるのはこれほど嬉しいことはありません。「ピアノ上手いね〜」って言われるより、そう言って頂けることのほうが何百倍も幸せに思います。
ただ、実際は「一音入魂」の演奏をする難しさに途方に暮れながら、自分の甘さを感じています。
この能天気な自己満足がなくなって、もっともっと自分に厳しくなればもっともっといい演奏ができるはずだと信じて頑張ってます!

コンクールに関しては、小さい頃から受けないという珍しい教育だったので、「人と競う」、という事に違和感をおぼえるんです。
どうしても受かるための演奏を意識してしまって何のために弾いてるのかわからなくなりそうで。
音高にいるときですら演奏に点数がつく事が苦しかったので。
だけど憧れのコンクールはあるので、それだけは受けるつもりです。恐らくひとつか、せいぜいふたつ、まで。
そんな甘い気持ちで受かるわけはないのかもしれませんが。
コンクールで頑張っている方たちやそれで結果を出してる人をすごく尊敬しているし、刺激も受けます。
たまに私は自信がないだけのただの怠け者なんだろうなあと恥ずかしく思います(>_<)





2008年2月 8日 (金)

バッハのフルートソナタ

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こんばんは。この1週間たくさんのアクセスありがとうございました。普段の2倍くらいのアクセスを頂きました。今日はバッハのフルートソナタをご紹介しようと思います。実は私が本格的な楽器を始めたのがフルートでした。高校に入ってすぐ始めましたと書きたいのですが、1年の夏休みすべてアルバイトしてやっとこさ楽器を買えたのです。もちろん当時2万円くらいの安物です。今はヤマハに吸収されましたが日管(ニッカン)のフルートです。村松のフルートが何としても欲しかったのですが、とても手が届きませんでした。アルバイトは1日(1時間ではありません)で800円でした。

始めたいきっかけがバッハのフルートソナタロ短調BWV1030でした。ロ短調はいわゆる「バッハの調性」といわれておりますが、ロ短調の名曲として、私個人としては、真っ先に挙げたいくらいです。バッハには「ミサ曲ロ短調」「管弦楽組曲第2番ロ短調」(これもフルートが活躍します)「フランス風序曲ロ短調」などがあり、バッハ以外ではシューベルトの「未完成」、リストの「ソナタロ短調」が有名です。

好きになった理由はいわゆる無茶苦茶長いといわれる第1楽章の出だしのモチーフです。これに尽きます。ほのかな憂愁を漂わせながら堅固な構成の第1楽章、慰めと安らぎに満ちた第2楽章緻密なフーガから一転踊るジーグに移行する第3楽章いずれも傑作だと思います。

私の好きな演奏は画像にあるラリューの1967年の録音です。明るすぎず、重すぎず、何度聴いても飽きることがありません。またチェンバロのプヤーナの演奏も残りの2声部を立派に弾きこなしており、フルートの音を無視してチェンバロの音だけ聴いたことが何度もあります。抜群のリズム感の持ち主です。

ところで、フルートの学習ですが、独学でやろうとしたので1年で挫折しました。でも数々のフルートの名曲に出会うことができました。

追伸
肝心なことを書き漏らしました。バッハのフルートソナタは

■フルートとチェンバロのためのソナタ
BWV1020(ト短調)、1030(ロ短調)、1031(変ホ長調)、1032(イ長調)

■フルートと通奏低音のためのソナタ
BWV1033(ハ長調)、BWV1034(ホ短調)、BWV1035(ホ長調)

■無伴奏フルートソナタ(パルティータ)
BWV1013(イ短調)

以上のように大きく3つに分かれます。

フルートとチェンバロのためのソナタはチェンバロ部分が明確な2声で書かれており、フルートの1声と合わせていわゆる「トリオソナタ」を形成しています。楽章も急−緩−急の3楽章構成です。

フルートと通奏低音のためのソナタは、フルートとチェンバロの左手のみが楽譜に書かれていて、チェンバロの右手はフルートに合わせて即興で和音や装飾的な音型を演奏していくようになっています。楽章も緩−急−緩−急の4楽章構成です。

無伴奏フルートソナタと通常呼ばれていますが、中身は舞曲のいわゆる組曲(パルティータ)です。

新バッハ全集では、1020、1031、1033が疑作の可能性が高いということで、はずされております。はずされた作品群は、バッハでなくても書けるような気がしますが、バッハも宗旨変えしたかと思うぐらい「楽しい」曲だけに、はずされたのはとても残念です。

無伴奏のフルートソナタですが、本当に単一声部ですが、いわゆる疑似ポリフォニーで書かれており、残響の多い例えば教会などで聞くと、とても一人で演奏しているようには聞こえません。ヴァイオリンの無伴奏より更に制約が厳しい中でバッハのポリフォニーへのこだわりとその究極の作曲技法には、脱帽というよりも思わず手を合わせたくなるくらいです。

バッハには無伴奏ヴァイオリン、無伴奏チェロのための作品群があります。いずれ劣らぬ傑作ばかりですが、「愛しい」ということであれば、私はためらわず、この無伴奏フルートソナタを挙げます。

以上2008年2月9日追記

2008年1月19日 (土)

カモミール ベストオーディオ 藤田恵美

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こんばんは。今日は昨年11月に発売になりました、藤田恵美さんのベストアルバムを紹介致します。藤田恵美さんはポニーキャニオンにホームページがありますので詳細はこちらをご覧下さい。

曲は彼女のカモミールシリーズ3部作「カモミール、カモミールブレンド、カモミールクラシック」から17曲を選曲してリミックスしたものです。CD層だけではなくSACD層(2チャンネル)及びSACD層(マルチチャンネル)を持つハイブリッド盤になっています。

伴奏楽器の自然な佇まい、美しい声ではありませんが、極めて自然な息づかい、清潔な歌い回しなど雰囲気たっぷりに音楽に浸れます。音響空間も大きく、本当に彼女に包み込まれているような感じがします。

いいことずくめなのですが、聴いたあと、さっぱり感動がありません。本当に聴いているときは夢心地を味合わせてくれるのに?何故?

英語の発音が問題です。さっぱり英語の歌詞が印象に残らないのです。BGMとして聴けばいいのかも知れませんが、実にもったいないと思います。聴けばTheを全く歌っていなかったりします。恐らくそれも歌唱技術のうちかも知れませんが、ネイティブではない最大の欠点?が思わぬ落とし穴になってしまいました。本当に残念!

2008年1月11日 (金)

バックハウス もう一つのハンマークラヴィア 2回目

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こんばんは。今日はバックハウス もう一つのハンマークラヴィアの2回目です。写真は昨日記載しましたブラームスから10歳のバックハウスに対する献辞です。1895年 ライプツィッヒの署名が確認できると思います。手書きの楽譜は、ブラームスの変ロ長調のピアノ協奏曲からの引用です。Zu Frohlichem Anfangとは「素晴らしき子ども」の意味ですが、それしてもわずか10歳でブラームスに認められるとは驚きです。バックハウスの略歴で、必ず、「若いときにブラームスに認められた」と書かれているのですが、まさか10歳の時とは!

バックハウスが戦前頻繁にアメリカ公演を行い、しかも短期間ながらカーチス音楽院でピアノ教授にするほどの人気を博しながら、何故戦後1954年まで、アメリカに行けなかったのでしょうか。CD「カーネギーホールリサイタル」で小林利之さんの解説によれば、ナチスの協力者として(実際はそうではなく、ヒトラーがバックハウスの名声を利用した)のバックハウスがアメリカで長く拒否反応があったようです。

1954年バックハウスは来日の前にアメリカに立ち寄り、70歳の誕生日(3月26日)を迎えた4日後の3月30日にカーネギーホールリサイタルを開きました。この後4月5日から5月22日まで日本に滞在します。この間多くのリサイタルを行い、5月2日の日比谷公会堂のお別れ公演では、悲愴、ワルトシュタインとともにハンマークラヴィアを演奏しています。この来日時の公演はおおたに様のホームページに詳細が記載されております。

肝心のハンマークラヴィアの印象ですが、第4楽章が明晰でゴテゴテになりやすいフーガをほぼ完璧に弾ききっています。少なくとも70歳のテクニックとは到底考えられません。第3楽章は冒頭の二つの和音から、引き込まれ第2主題の旋律は、魂をも揺さぶるかのようです。多くのピアニストの第2主題を聴いて聴いて参りましたが、バックハウスのモノラル録音も含めて至高の境地が味わえます。

曲目についての印象は、ハンマークラヴィアを更に、月光、アンコールを含めあらためて一稿を設けます。

2008年1月10日 (木)

バックハウス もう一つのハンマークラヴィア

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こんばんは。昨夜の娘の演奏はいかがでしたでしょうか、思わず微笑まれた方は、いらっしゃいましたでしょうか。ご意見がございましたら、是非コメントをお願い致します。

さて、今日はバックハウスのカーネギーホールのライブ録音でベートーヴェンのハンマークラヴィアが発見されそのCDが昨年11月末に発売予定でしたが、ようやく先日届きましたので、ご紹介したいと思います。演奏にはもちろん衝撃を受けたのですが、もっと衝撃を受けたものがあります。それはブックレットの写真と記事です。バックハウスの略歴などが書かれているのですが、私が初めて知る事実に衝撃を受けたのです。ざっと紹介しますと、

1、ブラームスから10歳のバックハウス少年に当てたメッセージ(1895年)

2、アルトゥール・ニキシュからバックハウスのバッハ演奏についての賞賛のメッッセージ(1896年)

3、モリッツ・ローゼンタールの自作「プレリュード」楽譜をバックハウスに献呈(1925年)

4、ラフマニノフからバックハウスへ「絵画的練習曲 作品39」を献呈(1922年)

これらが写真付きで紹介されております。すべて紹介できればいいのですが、内容を詳細に紹介できるほどドイツ語には堪能ではありませんので、もう少し調べてからご紹介したいと思います。

今回は4番目のラフマニノフからの献呈を紹介したいと思います。絵画的練習曲の上に、

Wilhelm Backhaus
in Verehrung
Sergei Rachmaninoff


と書かれています。Verehrung は英語に訳しますとworshipになるそうで、尊敬の念を込めて(意訳ですが)という意味になります。私は、バックハウスがラフマニノフを弾いた事実は全く知りませんが、それでも当時のピアニスト中のピアニスト、ラフマニノフからの献辞はバックハウスが如何に優れていたかを証明しております。バックハウスは1884年生まれですので、1922年は38歳です。1912年以来バックハウスはアメリカを毎年のように訪れており、1925年から26年にかけてカーチス音楽院でピアノを教えておりましたから、この時代にラフマニノフはバックハウスを知ったものと思われます。

最後になりましたが、バックハウスのカーネギーホールのライブ録音は1954年3月30日なのですが、このハンマークラヴィアは1956年4月11日となっております。

曲目をご紹介しておきましょう。

1954年 3月30日
■ベートーヴェン ピアノソナタ第8番 悲愴 作品13
■同       ピアノソナタ第17番 テンペスト 作品31の2
■同       ピアノソナタ第26番 告別 作品81
■同       ピアノソナタ第25番 かっこう 作品79
■同       ピアノソナタ第32番 作品111

アンコール

■シューベルト  即興曲 D935−2
■シューマン   幻想小曲集作品 12から 何故に?
■リスト/シューベルト
        ウィーンの夜会 第6番
■ブラームス   間奏曲 作品119の3

1956年 4月11日

■ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 月光 作品27の2
■ベートーヴェン ピアノソナタ第29番 ハンマークラヴィア 作品106

アンコール

■シューベルト  即興曲 作品142の3
■ショパン    エチュード 作品25の2
■シューマン   予言の鳥(森の情景より 作品82の7)
■モーツァルト  トルコ行進曲 K331

1956年ライブは Profil Edition Gunter hanssler PH07006です。

この録音テープが見つかった経緯は、1970年にGerhard Melchert がバックハウス未亡人から4枚のグラモフォンレコードとこのピアノリサイタルのテープを受け取りました。それまでこの録音はサンプルレコードと記載された箱にバックハウス未亡人の家に保管されていたのです。この録音入念な調査とが修復なされて初めて公開されることとなったそうです。ブックレットの解説はこのGerhard Melchert がおこなっています。

2007年12月30日 (日)

BOOK OF BALLADES

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こんばんは。いよいよ年の瀬ですね。今日とても寒いと思ったら、明日はもっと寒いそうです。ところで昨日はささやかながらホットなことがありました。レクストという小さなオーディオメーカーがあります。日本のメーカーですが、最近とてもユニークなDAコンバーターを発売しました。そのデモ機が届いたのです。当初の貸し出し予定は1月下旬でした。しかし、先に予定されていた方のキャンセルで、私に順番が回って来ました。貸し出し期間は1週間ですから、キャンセルが複数あれば、1ヶ月早くなるのはわかりますが、そんな疑問もありましたが、昨日早速試聴を開始しました。試聴の報告は別の機会に譲りますが、久しぶりに音楽と音響に浸っています。

さて本題ですが、スピーカーLS−350の演奏の今回は第3回目、カーメン・マクレーです。彼女が36歳の時に録音した「ブック オブ バラード」です。私は長い間、ジャズには全く興味がなく、むしろ毛嫌いしていたのですが、この曲をきっかけにジャズヴォーカルだけは、結構聴くようになりました。

オーディオの機器を試聴する時に必ず聴くCDのひとつです。曲目はスローテンポな曲がほとんどですが、その中の第2曲目 The thrill is gone がもっとも好きです。歌詞が好きで、知らない間に覚えてしまいました。

The thrill is gone,the thrill is gone

I can see it in your eyes

I can hear it in your sighs

Feel your touch and realize

That thrill is gone

The nights are cold ,for love is old

Love was grand when love was new

Birds were singing, skies were blue

Now it don't appeal to you

The thrill is gone,this is the end

So why pretend and let it linger on

The thrill is gone

覚えることができたのは、歌が上手なことはもちろんですが、マクレーの歌詞の発音です。ジャズというと私などは単純ですぐ南部訛りを想像してしまいます。またクイーンズイングリッシュ(キングズ イングリッシュ)が好きな私にはいわゆるアメリカンイングリッシュの発音は今以てなじめません。それほどマクレーの発音は聞きやすく美しいです。

これはマクレーに限ったことではないらしく、ジャズの一流シンガーは皆、しかも女性シンガーはとても発音が美しいらしいのです。これもジャズヴォーカルを好きになった理由かもしれません。

このthrillをどう訳するかが問題ですが、私は「ときめき」だと考えています。

この歌詞の場面は、立ち直れないぐらいショックですが、それでも、このように歌ってくれるのであれば、別れの告白もさぞかし印象に残るに違いありません。

マクレーの歌唱ですが、低い音も、高い音も極めて安定しており、聞き手をメロディーはもちろん、その多くを歌詞に集中させます。この曲では高音域と低音域との対照をすぐれた歌唱で表現しています。とくに、this is the end から

So why pretend and let it linger on

The thrill is gone

にかけての歌は心を揺さぶります。別れ話を切り出さなければいけない女性の悲しい決意のほとばしりに、胸が痛くなります。

最後にLS−350の演奏ですが、この曲に限っては、なまめかしいサウンドではありますが、ある種のきつさ、潔さから、私はD−55の音の方が好きです。

ところで、いわゆるCDラジカセで聴いても私のようにたいそうな(よい意味で言ってません)装置で聴いても音楽の本質は変わらないのでは?という疑問があります。

が、このたいそうな装置で聴くと「音像」というのが浮かび上がります。それこそ、等身大の歌手が目の前に現れることも希ではありません。これこそがオーディオの醍醐味だと思っているのですが、これは体験してみませんとなかなか意味がわかりにくいと思います。レクストのDAコンバーターは40万円ちかくするのですが、現有の私の装置の音を変えてくれる部分はほんのわずかです。そのほんのわずかにこれだけのお金を払う価値があるかどうか、これが趣味の世界でしょうか。なお、このわずかの変化は、一般人にはほとんど聞こえない(むしろこれが当たり前)といっていいようなものです。

2007年12月27日 (木)

LS−350による演奏 第2回

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こんばんは。今夜もBBCモニター風スピーカー「LS−350」によるCD演奏です。今回もヴォーカルをお届け致します。アメリカの女性ヴォーカル Leann Rimesリアン・ライムスです。1982年生まれ、この録音は1997年ですから、15歳!です。最初から結論めいて申し訳ないのですが、決して美しい声質ではありません。ですが、その伸びやかな歌声には、訴えるものが多くあり、ファルセッット(裏声)に移行する直前の声質に特徴があります。歌唱力とはよくいいますが、リアンはまさしくこれ。楽器もアコースティックではなく、歌にも多少のエコーを効かせてありますが、そんなことはでうでもいいくらいの、圧倒的な歌唱力です。特に冒頭のユー・ライト・アップ・マイ・ライフは何度聴いても一種、勇気づけられるような気分になります。オーディオ的には彼女の伸びやかな声がどこまでストレスなしに再現できるかがポイントになるでしょう。

写真は全く同じ曲を並べたCDですが、録音は、上のDENON盤の方がふくよかな感じがよく出ています。微妙な差異ではありますが、オーディオ的には決定的な差と申し上げます。CDプレーヤーを2ランクぐらいアップしたくらいの違いがあります。

このアルバムにはアカペラ(無伴奏独唱)で、アメイジンググレース、アメリカ国家(星条旗よ永遠なれ)が入っています。ライムスの歌唱能力が素のままで表現されていると思います。

それにつけても、15歳でこの歌唱力とは!アメリカはやはり広いとつくづく思いました。

肝心なことを書き忘れました。私がこのアルバムの中で好きな曲はタイトルにもなっている、You Light Up My Life です。ライムスの歌が余すところなく味わえます。

写真 上 DENON COCB−83084

   下 OMAGATOKI OMCX−10

上の方は紙ジャケットで四方からCDを折りたたむような構造になっています。いわば、聴かなくてもジャケットで魅せます。実はこの2枚、オーディオクラブの仲間、音の粒さんにネットで落札して頂いたものです。彼もD−55を使用されておりますが、私のより、遙かに鋭い反応をみせます。

余談ですが、アルバムに彼女が実に素敵なメッセージを寄せています。原文でそれを味わって下さい。

I would like to start by thanking God for giving of music and life and my mom and dad for their love and suport. I have been blessed with a team of people who work hard everyday to support my music and my career.

2007年12月26日 (水)

スピーカーLS−350による演奏

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こんばんは。LS−350による、エージングはしばらく続きます。ここ2,3日はクラシックではなくポップス系の曲を重点的に聴きました。スウェーデンのレーベルにPROPHONE(英語読みではプロフォンですが)というのがあります。音質の優れた盤を輩出しています。今回とりあげましたのは「フェザーズ」というタイトルのピアノ伴奏だけで歌うヴォーカルです。

歌手はジャネット・リンダストロム、ピアノはスティーブ・ドブロゴス。

歌は甘く切ないバラード調ですが、何といってもリンダストロムのハスキーながらも唇の湿りわかるような歌いっぷりにあります。ピアノもクラシックの素養が備わっていると思わせる演奏です。しかも二人の空間が手に取るようにわかるような絶妙の雰囲気を醸し出す録音がまた素晴らしい。D−55で聴きますと、歌はいいのですが、ピアノが電子楽器のように聞こえるような時があります。が、LS−350では歌声の潤いがさらに増し、ピアノの音響もごく自然にきこえるようになりました。ディテールの表現はD−55の方が勝りますが、音楽に浸るという点では、LS−350の方に体が大きく傾きます。

1曲目のバラフライがこのアルバムを代表する名曲です。間奏のピアノも単なる伴奏にとどまらない、ピアノならではの歌があります。

実際の歌詞の内容とは違いますが、素敵な女性に愛をささやかれている錯覚がする名曲です。しかし、ラジカセ(死語かな?)ミニコンポでこの「愛のささやき」は残念ながら直接味わえないと思います。ここに、コンポの出番があると思います。

ポップス。クラシック、ジャズ、ロック、ジャンルを問わず是非手許におくことをおすすめする1枚です。

この盤で「ときめき」を感じることができないのであれば、それは感受性の問題ではなしに、コンポ(装置)の問題であります。

2007年12月14日 (金)

yuki matsuzawa のショパンアルバム

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こんばんは。以前写真だけ紹介した、Yuki Matsuzawa さんのショパンアルバムです。

2枚組で、1枚目は

アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ
華麗なるワルツ第2
ワルツ第12
ワルツ第6
ワルツ第17
華麗なる大ワルツ第1
英雄ポロネーズ
幻想即興曲
ピアノソナタ第2番変ロ短調 作品35

2枚目は

エチュード 作品10、作品25 三つの新エチュード 遺作

が入っています。

順序が逆ですが、ショパンのエチュードの数ある録音の中で私がもっとも好きな演奏です。学生時代のことですが、私はポリーニが出現するまで、ショパンのエチュードを何故もっと古典的な格調で演奏するピアニストがいないのか、ずっと探しておりました。その意味ではポリーニの演奏は私の理想的な演奏ですが、最近年をとったせいか、一番好きではなくなりました。そのきっかけがこのYuki Matsuzawa 盤です。27曲すべてに当てはまることですが、まず細身ながらも美しい音、技巧的な音階、アルペジオに独特の切れ味があること。わずかですが、曲の情趣によりテンポを揺らしたり、特定の音を強調したりするのですが、これらのセンスが非常にいいのです。

特に彼女の技巧のセンスの良さは並はずれています。一例を挙げれば英雄ポロネーズの機関車が走るような中間部(左手の素早いオクターブ)はまさにオクターブで弾いているような感じがしません。要するにいかにもオクターブを弾いていますよ、なんて演奏はしないのです。軽々と弾いています。また、幻想即興曲など若き日のバックハウスの演奏を思い起こさせます。素晴らしい切れ味です。切れ味といえば、2番のソナタの終楽章も素晴らしい技巧です。一音一音曖昧な音は一つもありません。完全に弾ききっています。

年齢不詳 東京芸術大学を卒業していることはわかっています。デビューアルバムがスクリャービン、近年イギリスではベートーヴェンの第4番のピアノ協奏曲を弾いたりしています。

告白しますと、亡くなった私の先生のショパンのエチュードの演奏そのままです。もちろんYuki Matsuzawa さんの方が優れています。40年近く前の私の記憶ですが、約9ヶ月間、ショパンのエチュードは週に3日以上は繰り返し弾いてくれましたので、強烈な印象は残っております。

日本にも里帰り公演があったそうですが、全く知りませんでした。

アルゲリッチのような強烈な印象ではありませんが、好きになると完全にはまる演奏です。

2007年12月 6日 (木)

ポリーニのショパン エチュード(SHM盤)

Egzytj7u
こんばんは。今、話題のSHM盤を聴いてみました。SHMとは、super high materialの略で、材料は液晶パネル用のポリカーボネート樹脂でより透明性が高いとのこと。ユニバーサルミュージックが日本ビクターとの共同開発により商品化しました。

正確なピットの形成、複屈折が少ないため、より正確な読み取り特性があるらしいです。音質の向上として、レンジ感、歪感、音量感、解像度、音質バランスが優れていると説明されています。

ここまでは、付属のブックレットの説明ですが、少なくとも私が期待したほどではありませんでした。ポリーニのショパン・エチュードはCD(普通の)で聴きますと、ずいぶん金属的な音がしますが、アナログレコードで聴きますと、それは宝石のような音質です。もちろん金属的な音はしますが、それは低域の弦とピアノの胴が同時にしなるような独特の響きで決して不快な音ではありません。少なくともアナログのポリーニを聴かなければ本当の意味でのポリーニの凄さは半分も聴いていないことになります。

その意味では、9月頃に発売されたアナログの重量盤(3500円)がお買い得だと思います。

以上はアナログ盤と比べてのSHM盤の印象ですが、通常CDと比較しても、解像度、高域の輝き、聞きやすさ(バランスの改善)が向上していると思います。それでも格段向上したかと言えば、1割くらいでしょうか。

あるいは、オーディオ装置がよければ、もっと違いが出るのでしょうか。尚試聴はCDプレーヤー=デンオンDCD3500RG、パワーアンプ=DAD−300Mpro、プリアンプ=FET窪田式プリアンプ、スピーカー=D55で行いました。

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